なみえの今
社殿の前で13年ぶりの安波祭
2024年3月5日
こんにちは、地域づくり支援専門員の東です。
今回は、請戸地区で300年以上続いている「安波祭」についてレポートします。
東日本大震災の大津波で流失し、再建された請戸地区の苕野(くさの)神社の社殿が2月18日、皆さんの前にお披露目されました。13年ぶりに再建された社殿の前で竣功式とともに伝統行事「安波祭」が催されました。
例年、安波祭の日は寒さの厳しい印象がありましたが、今年は最高気温が18度を超え春の陽気を感じる一日で、まるで「あんば様」も喜んでいるようでした。
安波祭は豊漁や豊作、海上安全を願う伝統行事で、江戸時代からの歴史があると言われています。避難指示が一部で解除された2018年から社殿跡地の境内で祭りは続けられてきました。
「請戸に帰れなくても、請戸に人々が生きた証しを後世に残したい」との思いで、氏子ら地元関係者が再建委員会を設立し、昨夏から新社殿の建設が進められ、今年の1月末に完成しました。
境内には氏子や元住民ら約300人が集まり、神社を見渡すことができる近くの堤防からも多くの方が見守るなか、神事が執り行われました。
その後は、再建された社殿の中では「雅楽」「浦安の舞」、そして境内では「神楽」「田植踊」が奉納されました。多くの人々がスマートフォンやカメラを構えて写真や映像に収めていました。
そして最後に、神主が柄杓と手桶を使って汲んだ潮水を、請戸浜の砂で作った穴の中へと注ぎ込み、泡の濁り具合を見て1年の吉凶を占われます。
氏子総代長の五十嵐さんより「今年1年、豊漁・豊作!」と占いの結果が発表され、安波祭は締めくくられました。
氏子総代長の五十嵐光雄さんは「私も田植え踊りと神楽の両方を経験してきた。脈々と受け継がれ、こうして新たな社殿の前で奉納される様子を見れて感慨深かった」「一時は反対の声もあったが、ようやくここまで来ることができた。 苕野神社は震災で散り散りになった請戸の人々の心をつなぐ場になってほしい」と話されていました。
請戸は一部を除いて災害危険区域に指定され、人は住めなくなってしまいましたが、神社が再建されたことで少しでも地域の方々の心の拠り所となり、再会のきっかけとなればと思います。