なみえの今
請戸の田植踊 特別授業
2021年11月1日
地域づくり支援専門員の引地です。
皆さん、福島県内に伝わる伝統芸能、特に請戸の田植踊をご覧になったことはありますか?
浪江町にもいくつかの田植踊がありますが、県内に伝わる田植踊の多くは浜通り北部に集中していたようです。
今回、幾世橋地区に位置するなみえ創成小学校から、隣の地区に位置する請戸(うけど)の伝統芸能・田植踊を学びたいと依頼があり、請戸芸能保存会会長 佐々木繁子さんの特別授業が開催されました。
受講するのは小学4年生の3名です。授業の様子と内容を少しだけお伝えします。
始めに踊りの映像を見てから、請戸の田植踊についてお話がスタートしました。
請戸の田植踊は請戸の海の守り神、苕野(くさの)神社へ奉納する踊りです。毎年2月の第三日曜の安波祭で奉納されます。
かつて、請戸はヤマセと言って東から吹く浜風は冷たく、作物が実らず人々は困っていたようです。そこで村人たちが神社に集まり田植踊を踊ったところ、その年は豊作となり、その後神社に奉納するようになりました。これが田植踊が始まったきっかけといわれています。
次に、安波祭当日の流れに沿ったスライドを見ていきます。
そして、震災後の田植踊と継承について話がすすみました。
震災後2012年の2月より、仮設住宅で踊りを披露するようになりました。安波祭では村まわりで各家々をまわっていたように、仮設住宅をまわり「みんなを元気づけよう」「家族と離れて暮らしているみんなに笑顔になってもらいたい」そんな想いで踊り、安波祭の日に合わせ6年間も続けたそうです。
『なんとしても田植踊を残したい』そんな想いをお話いただきました。
請戸は災害危険区域となり住むことができない地区となりました。
今までは請戸小学校の児童が踊っていましたが、今後の請戸小の児童はいません。現在は大人になった元請戸小学校のみんなが中心に踊っていますが、成長とともに踊り手も減少してしまいます。
踊りをどうやってつなげていけばいいか相当悩み、“昔は青年部が踊っていた時代もあった、時代に合わせ踊り手も変わってもいい”“年齢や請戸出身にこだわらなくてもいい”と考えるようになったそうです。
地域の大切な踊りなので、請戸の先輩方にも相談し背中を押してもらったそうです。
授業の最後は踊りの体験です。
踊りで使う四つ竹を持ち、唄に合わせ少しだけ踊りを体験しました。
花笠もとっても似合っていて「もっと踊ってみたい」と感想をもらい、約2時間の授業はあっという間に終了しました。
伝統芸能というと少し敷居が高く感じるかもしれませんが、体験をしたり、その踊りの歴史や地域の背景を知ると身近に感じますね。
また、私は日々町民の皆さんと接する中で、地域の踊りや祭りをとても生き生きとお話する方が多いなと感じていました。
今回の授業で『地域への愛着』『人々のつながり』『伝統芸能』はとても深くつながっているのだなと自分自身も学びを深めることができました。
これからも次の世代へ伝えていく機会が広がっていくといいなと思っています。