なみえの今
室原で13年ぶりの田植え
2023年5月11日
こんにちは、地域づくり支援専門員 今野です。
大型連休中、全国的にも田植えの様子がニュースなどでも紹介されていましたが、浪江町でも水が張られキラキラ光っている田んぼ、そして田植えに取り組む様子が各地区で見られました。
3月31日に避難指示が解除された特定復興再生拠点の室原地区でも、原発事故以来13年ぶりとなる田植えが5月5日におこなわれました。
復興組合の高田秀光会長に予定などをうかがった時には「声をかけたけど何人来てくれるかなあ…みんなまだ避難先で暮らしている状況だからね。10人ぐらい来てくれればうれしいなあ」などとおっしゃっていましたが、作付けする田んぼの前にはおおぜいの方が集まっていました。復興組合の方23人と、そのご家族なども集って30名以上の皆さんがわいわいと、13年ぶりに始まる田植えを前に談笑などされていました。
始まる前にはあらためて高田さんがご挨拶。「13年ぶりの田植えになる、昔を思い出して作業をしたい」などとおっしゃいました。
実は室原地区のほとんどの田に農業用水を供給している水路は、ずっと帰還困難区域だったこともあり、まだ復旧が進んでおらず水が来ていないということでした。今回田植えをした田んぼは、隣の加倉へとつながる別の水路から水が来ている田んぼだということです。面積としては8畝(800平米)ほどの田ですが、協力して苗を田植え機に積む作業や、田植え機で苗が植えられていく様子を見つめる姿などから、コメづくりの最初の一歩への期待が感じられました。
作業は1時間ほどで終了。田んぼを管理する役割の吉田公明さんは「無事に終わって良かった。担い手の高齢化もあるが、若い人でやりたいという人がいれば協力したい。今日は孫たちも手伝ってくれた。避難指示解除で子ども達も来られるようになったのはうれしい」などと感想を話しました。
室原行政区の小澤晴久区長は復活した水田を前に「うれしいことだよね」と感想をひとこと。「これを機に、室原に帰還しようと思う人が増えて、震災前のような地域になればよいなあと思っている」などと話していました。
室原地区では今回の試験栽培、来年の実証栽培を経て、やっと再来年から出荷を目的とした本格的な営農が再開されていく予定です。
困難の中、コメづくりが生み出す人と人とのつながりにも、期待していきたいです。